片翼撃たれたトンビの死(遺稿)

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坂本正治氏を偲ぶ
可哀想なDavidの話
事故
Adobe社「INDESIGN」
片翼撃たれたトンビの死
九十九里浜のテトラポット
〈ヨウカイチバ〉へようこそ!
風間農園のカボチャ爆弾
チバラギの「荒地」から
顔のない仏像と日本のマスメデイア

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鉄砲に打たれて片翼動かなくなったとんびが山に舞い降り、ウチの犬に吠えられていた。 獣医に見せても飛べるようにはならないだろう。犬缶を半分ほど与えると、ほんの1mもない石の上に飛び上がれない。古い犬用の餌皿にスプーンで掻きだしたミートローフ状のドッグフードを与えるとがつがつと完食した。腹が減ってない猛禽類などこの世にいない。カラスが二羽ほど傷ついた#鳶#とんび#を悟ってイジメに飛来する。今は猟期だから、となりのお百姓さんの話では、鉄砲で打たれたんだろうという。 どこのバカ親父が鉄砲撃ったのか知りたいものだ。 鳶を撃って何の憂さ晴らしをしているのか、とんびこそいい迷惑で、もう二度と空を飛べない。 片翼の利かない自分をどのように認識しているのか。2年前、脳出血で身体不調になった我が身に比べていとおしい。獣医に電話したが今日は休診。もともと大動物を手がけていた獣医さんに、鳥の翼というより筋肉の開腹手術は無理だろう。 とりあえずワンコが鳶を襲わないように縛っておかなければ、と首輪を探すが見つからない。コメリへ出かけて、ハヤシさんに見立てて貰う。派手目の赤い首輪が、2匹分で二千数百円也。 朝起きて見に行ったら、鳶は裏山の斜面で死んでいた。昨日夕方採取した竹をハンマーで砕いて祭壇を作り、火葬にする。竹は不用意に火をつけると節と節の間に蓄えられた空気が膨張してパン、パンと大きな音を立てて破裂するから、燃やす前に節を砕いてやらなければならない。 どこぞの無分別なオヤジの鉄砲で死んだ鳶は、死んだあとまで鉄砲のような破裂音に脅かされたくないだろう。 ノーベル賞がなんなんだ。文学賞を制定しようが、無期懲役の囚人に平和賞を渡そうが、安全火薬の発破で殺されたヒトは、数千・数万どころか何千万人にもなる。そればかりではない。安全火薬の発破で山が崩され道路が切り開かれ、軍隊や大金持ちの狩猟隊が殺した野生動物の数も数知れず。 白い煙になって空に登って行く鳶を見ていると、いつのまにか涙があふれて来た。 この気持ちにふさわしいコトバは「神は偉大なり。アッラー・ホー・アクバール。三界の主たる主よ」と口癖のように唱える、回教徒の祈りのコトバしかないのか。アメリカの摩天楼ビルを直撃した自殺コマンドも、きっとタワーに突っ込む前に、そう叫んだことだろう。 中国人の葬式なら、あの世で不自由しないようにと紙の銭を焼く。紙の銭、今手元にないよなあ。 葬式と言ったって、あの世に行ったのは鳶だから、ベートーヴェンもブラームスも似合わない。 なにか葬送の音楽が必要だとしたら、あれかなあ。三橋美智也師匠の歌うあの曲は、なんという名前だったかなあ。「高原の哀愁列車」でもないし、えーと「とんびがくるりと輪をかいた〜 ホホイのホーイ」というあの曲は。あれはチョコレート「カール」のCMか。 朝定を食べに行く旭市のロードサイド・レストラン、旭市のデニーズでは、嗄れ声の白人男が、朝っぱらから切々と恋情を訴える。 嗄れ声の男性歌手は、ボブデイランだけで、もう充分。デニーズが三橋美智也じゃ、成り立たない。おかしい。 私自身の生前喪どうしようか。もう用意しといたほうがいい時分かな。今朝も寒さで骨が痛む。 俺、心が病んでいるかなあ。