トルコ

イランのバザルガンの国境を出るとすぐにトルコの入国である。トルコへ来ればもうヨーロッパみたいなものだ!などと高をくくっていたのだが、そうでもなかったのが車での入国である。トルコはカルネが通用する国(もちろん私は持ってはいないが)だと思っていたが、そのことに関しては全く尋ねられることもなかった。出入国事務所の建物は立派だが、車の通関に関しては全く要領を得ないところだった。なにやら業者らしい男がいろいろと言い寄ってきたが無視して、ともかく保険だけは入りたいと建物内を探し回って見つけたのだが、そこの男は私がなんと言おうと外を指さすだけで受け付けようとしなかった。やはり保険なしで走るしかないのかと覚悟して事務所を後にして走り出すと、数百メートル先にもう一つのゲートがあり、そこでいろいろと書類を調べていたのだ。私が見せられるような書類といえば車両登録証だけである。「たぶん駄目だな」という予感があった。もう空は暗くなりかけていた。こんな中途半端なところで夜を明かすわけにはいかない。
仕方なくあたりをうろついている男に声をかけた。するとバスのドアに捕まったまま、もう一度さっきの建物へ戻れという。言われるままに車を戻すと、やはりさっき私が見つけた事務所でなにやらの書類を作ってくれた。もちろん金も要求された。どうやらここを通過する外国人にはカルネがあろうとなかろうとこうして官吏に癒着した業者を通さないと通過させない仕組みらしかった。これがEUへ加盟しようとしている国だとはとても思えなかった。ヨーロッパ側出国ではこうした面倒なことはなかったし、カルネについても何も言われなかった。裏口とはこうしたものなのである。


味気ないイランの食事から、トルコへ入ると突然おいしい食事にありつけるようになる。ともかくエキメッキといわれるパンが旨い。フランスパンやモロッコのパンも旨いけれどトルコのパンもまた非常においしかった。それも料理を頼むとバスケットに山盛りついてくるうえ、お代わり自由というのもいい。それに「ピデ」というピザがまた驚くほどおいしい。小さなお店でもしっかりした大きな窯を持っていて、それで焼いている。
トルコには旨いものがたくさんあった。トルコ料理について興味がある人は他の人のWebページでも見てください。

チャイは紅茶だがミルクの入っていないもので、まずくはないが味気なく感じたものである。パキスタンやインドのチャイと比べるのは「酷」かもしれないが…
面白いことにトルコ中どこへ行ってもチャイカップはこの形だった。

トルコに入ると半砂漠から放牧に適した草原の平地が広がるようになる。国土の大部分がアナトリア高原に属していて、写真のようにただひたすら広いところも多い。道路も上質である。
単調といえば単調なドライブなのだが、起伏にも富んでいるし、パキスタンやイランのような険しい岩山は姿を消して、ともかくなだらかで優しい曲線の山々や丘が多くなる。地形から言うと老年期の地形だろうか。木々や森はほとんど見られないが自覚して植えたのだろう、草原や畑の中に程良く植林されている木々が美しかった。

キャンプをしようにも誰かの土地なのではないかと思われてしまうほど、どこもかしこも人が手を入れたように整っていて美しいところが多い。
ここはやっと見つけたキャンプ地だがここでも見晴らす丘には山羊や羊の獣道がたくさんあるところだった。
トルコは美しいが退屈な国…というのが私の印象である。

真ん中がすり鉢のように窪んだ山があった。おそらく水たまりでもあるのだろう。どうなったらこんな山ができるのだろうか。

 

私たちがトルコの中で唯一立ち寄った観光地、カッパドキア。不思議なところだが退屈だった。

やっとたどり着いたイスタンブールはともかく大きな都会だった。細かい地図など全く持ち合わせていない私にとってこうした大都会に大きなバスで入るのはひどく苦手である。(当たり前かも)
太陽の位置を基準にめくらめっぽう走り回ってその町のおおざっぱな地図を頭の中に作るのが今までの私のやり方だった。しかし小さな車ならばそれはできるが、今回のバスではそれは自殺行為になる可能性もあるのである。こうした古い都会には鳥居のようなゲートがよくある。フーライバスは4mもの高さがあるから、通れないところで身動きできなくなる可能性がある。また、狭い路地に入ると電線などが低すぎることもある。一方通行規制も怖い。
おそるおそるGPSのおおざっぱな方角表示(町中の道路は全く表示されない)を当てにしながらやっとの思いで旧市街にたどり着いたが、そこがまた車の反乱と狭い路地ばかりだった。車の多さは怖くはないが狭い路地と一方通行規制に泣かされた。旧市街のどの駐車場も私のバスは駐車を断られた。
仕方なく私だけが海岸沿いの駐車場付きの中級ホテルにたどり着いた。他の者は旧市街の安宿へ泊まった。


<トルコ雑感>

イスラム国家であるトルコは、宗教的禁欲主義をゆるめて西欧的な自由主義、享楽主義を選んだ国である。ホテルのテレビに映し出される商品化された女の姿態、性的描写に驚く。数ヶ月とはいえイスラムの国を旅してきた私にとってそれは驚きであった。経済的基盤を西洋的資本主義におかざるを得ない現代世界で、禁欲主義を強めても必ず矛盾に突き当たるはず、ではある。しかしトルコの行き方には、明治の頃にちょんまげをそり落として西欧人になりたがった日本人とどこか似たところがあるように思われた。トルコは今でもどこからともなくコーランが聞こえてくる国である。あきらかにイスラム関連とわかる書籍が書店にはたくさん並んでいる国でもある。男達はひげをそり落としジーパンをはき、女達はスカーフを取ることでヨーロッパ圏へ何とか仲間入りしたいともがいている国であるが、何かつらい宿命を背負っているように私には思われた。

車の一時輸入について

カルネがあれば問題ない、とはいかない国のようである。もちろん入る場所によって違ってくるだろうが、入国に際してカルネという言葉さえ聞かなかった。もちろんなくても大丈夫であるが、その代わり金が必要となる。この国はヨーロッパのグリーンカード(カルトベール)という共通自動車保険が利くのかどうかわからない。入国に際して入った保険はトルコ国内だけのものだったが、出国の場所ではグリーンカードの事務所がありヨーロッパの保険を扱っていた。

道路状況

国道のほとんどがよく整備された2車線の舗装路である。

車について

通常の乗用車でもほとんど問題ない。

ホテルと宿泊

観光国なのでホテルの心配はいらない。

道路検問

ほとんどないに等しい。

 

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